未来面「新しい日本人をつくる。」経営者編第1回(2012年11月5日)

課題

グローバルな社会で活躍できる人材になるには

小島順彦・三菱商事会長

※肩書き等は掲載当時のものです。原稿のため、掲載時とは差異があります

 初めての海外赴任は39歳の時です。同期入社の中では最も遅いほうでした。赴任地はサウジアラビアで、プラントなどのインフラ事業をはじめ、色々な業界のコンサルタント的な業務をする会社でした。社員数は約500人。その国籍の多様さに驚きました。24カ国の人が働き、日本人は私1人。そんな人種の坩堝(るつぼ)では当然のごとく、英語が共通語となります。

□自分の意見を主張

 私のように英語が母国語ではない人のほうが多く、発音はバラバラ、文法もお構いなし。互いのコミュニケーションを取るために必要な道具とはいえ、流ちょうな英語を話したり、聞いたりすることなど誰も期待していません。それよりも会議で大切なのは、「自分はこうしたい」「それは賛同できない」といった自分の意見を、身ぶり手ぶりを交えてガンガン言い合うことだと気付きました。吹っ切れましたね。自分もそうしました。その中で生まれたのが、私の持論である英語3原則です。

(1)流ちょうな英語でなくてもいい。

(2)流ちょうに英語を話す人が必ずしも優秀とは限らない。

(3)重要なのは自分の意見を持ち、議論の中でそれを主張できる力。

 正確な英語を話そうと思って萎縮しないことが大事です。いつしか、このサウジの会社では、ミーティングの結論を出す前にまとめ役として必ず意見を求められるようになり、つたない英語で自分の意見をしっかり話しました。わずか2年の短い赴任期間でしたが、グローバルな人材の本質を学ぶ貴重な経験をしました。

 自分の意見をしっかりと持ち、主張するには、もとより物事を深く「考える」力を身につけねばなりません。こうした力を育むうえで、教育が担う役割は大きい。そこで次に挙げる3点を提案します。

(1)人に尽くし、社会に尽くすという「志」を持つ人材を育てるため、学校教育に社会奉仕活動などを組み込む工夫をする。

(2)多様な価値観を理解し、それを尊重する土台として、自国の歴史や文化を小学校のうちからきちんと学び、自分の言葉で話せるようにする。

(3)国際的な舞台でも物おじせずに自分の意見を主張し、議論できるようにするため、中学や高校にディベートの授業を設ける。まずは日本語から始めたらよい。

□「いい学校」よりも

 今の学校教育では保護者も子供も、どうしたらいい学校に入れるかを優先しがちです。しかし、世界で活躍できる人材にとって本当に必要なのは、最初に挙げた「志」ではないでしょうか。人に尽くす、社会に尽くす、国に尽くす。さらには国際社会に尽くす。こうした志の大切さを若い人たちに知ってもらううえで、私たちシニアもお手伝いできるはずです。例えば学校に出向いて、海外生活での経験や、これまで取り組んできた仕事の内容をお話しすることができます。教科書からは学べない実体験の紹介は、聞く人を引き込む力があります。

 もちろん、若い方々自身の体験も重要です。大学生や大学院生の皆さんには、とにかく海外に行き、見聞を広げると同時に、苦労をしていただきたい。三菱商事は社員が30歳になる前に、必ず海外赴任を経験させるグローバルトレーニー制度を設けています。「鉄は熱いうちに打て」「かわいい子には旅をさせろ」という言葉通りに、慣れない国での仕事や生活を通じて、たくましさを身につけてもらうのが目的です。

 こうした体験をされている最もいい例が、発展途上国の様々な課題について、現地の住民と共に草の根レベルで解決にあたる青年海外協力隊の方々です。三菱商事では、協力隊で頑張って貴重な経験を積み、たくましさを身につけた人たちを採用してきました。これまでに6人が入社し、組織に活力を吹き込んでくれています。

 今、日本と海外を行き来しながら感じるのは、国際社会における日本の存在感の低下です。海外で学ぼうとする留学生の数もこの十数年で大きく減り、逆に中国や韓国の学生が米国の著名大学・大学院で勉学に励んでいます。その姿を見ると、この国の未来を真剣に考えねば、と痛感します。ビジネスの世界でも、遠慮したり慎重になり過ぎたりして、国際会議などで自分自身の意見を表明する日本人が少なく、他のアジア諸国に比べて日本の存在感が薄くなっているように思います。

 これから国際社会で重んじられる人材には「Curiosity(好奇心)」、「Challenge(挑戦する気概)」、「Communication(人と意思疎通、議論する能力)」、「Courtesy(礼儀正しさ)」の4つのCが必要です。日本がグローバル社会での存在感を高めるために、若い読者の方々には、ぜひ、これらを身につけてほしいと考えます。

 今度は皆さんから私に、優れたアイデアを送っていただく番です。「今、自分がグローバルな社会で活躍できる人材になるにはどうすればよいか」を考えてください。若い感性にあふれる、力強い意見を期待しています。

アイデア

世界で自分の色を出す

鳥畑剛(麗沢大学経済学部4年、22歳)

 日本の良さは「和」であるが、それはただ単に「目立たぬよう」一緒に仕事をするということであってはならない。私はグローバル人材を「新たな価値をもたらす人」と定義する。十人十色とはいえ、その十に埋もれては価値が生まれないからである。

 全米模擬国連という学生会議に参加した時の経験だ。海外の学生同士ははつらつと意見を交わしていたが、そうでなければ議論に参加していると周囲に認めてもらえないからである。「目立たぬよう」討論していた私は何の貢献もできず、そのまま会議を終えた。

 やはり、グローバルな社会で活躍するには、あらゆる場面で「自分の色」を表せる存在にならなくてはならない。そのためには日々変化する物事を自分の頭で逐一考え、磨いた知識とともに、常に外部へ堂々と発信していかねばならないだろう。

「好かれたい」は捨てる

若生 星(東北学院大学経済学部3年、20歳)

 グローバルな社会で活躍するには、まず嫌われることに対して免疫を持つことだ。日本人は人に好かれたいという気持ちが強すぎると思う。だから、人の意見に合わせる人が多いし、大胆なことに挑戦しても批判されるとしどろもどろになる。グローバルな社会は実に多国籍で多宗教だ。当然意見の食い違いが出てくる。その中で批判されたとしても自分の意見に自信を持ち、最後まで伝えることが大切だと思う。

 変なプライドはいらない。自分の成長を妨げるだけだと思う。

譲れない目標を持つ

鈴木 恵美(中央大学商学部2年、19歳)

 「使える」英会話力、自分とは文化や言語が違う人とでも構わず会話ができるコミュニケーション能力、自分の考えをしっかりと主張できる表現力は、むろん、基礎的な能力として重要といえる。しかしこれらは、あくまでベースにすぎない。その土台の上には「譲れない目標、生きていくうえでの軸」が不可欠と考える。

 グローバルな社会では、実際に外国で働かないにしても、必ず、周りに自分とは「基準」が違う人がいる環境に置かれる。そこでは、ともすれば普段と違う環境に悪い意味で順応してしまい、自分を見失い、今まで培ってきた価値観やスキル、目標(ビジョン)が周囲に流されてしまいやすくなる。特に日本人はその傾向が強いだろう。確かに、異なる環境に順応できることは優れた能力だと思う。しかし、グローバルの波に乗って活躍し続けられる人材になるには、どんな状況に置かれようとも、自分はなぜ、何のためにこの仕事をしているのか、自問自答できるような確固たる目的意識を忘れずに持つことが第一に必要と考える。

以上が紙面掲載のアイデア

空気を作れる人になる

藤村 大地(国際教養大学大学院1年、24歳)

 言語や文化、宗教や肌の色が異なる空間では日本人同士の「空気を読む」は通用しない。むしろ「空気を作る」必要がある。私も大学受験までは一つの正解を求めることに精いっぱいだったが、大学生活で様々な国籍を持つ留学生との交流を通じてこのことを痛感した。

 日本語は曖昧といわれる。「善処します」といった、玉虫色の表現がよいとされるときもある。しかしそれは相手に判断を任せているにすぎない。たとえば話題作と評判の映画を見た感想を「泣いた」や「ヤバい」など陳腐な表現ではなく、どう感じたのかを言えるようになる必要がある。自分の言葉に責任を持って意見を述べる、これに尽きるのではないか。

「捨てる勇気」

井村 卓司(豪エディスコーワン大学経済学部3年、27歳)

 まず、すべてを捨てる。考え方、自身の文化、プライド。国によって違う考え方があることを理解する。理解するとは、その国の人になったつもりで物事を考える。もし、不明な点があるならば、その場、その時に現地の方に質問し理解する。もし理解できなければ、とことん話し合う。自身の文化を捨てる。母国の文化を知ることは大切であるが、相手の文化を理解することも大切である。相手の良い文化を自分自身で判断し取り込めるようにする。そして、自分の文化と組み合わせる。プライドを捨てる。不明な点は分からない、知らないことは、知らないと言う。中途半端に理解するより、正直に分からないと言える勇気をもつ。最後に、誠意をもって物事に打ち込む。どんな時でも、誠実にその人の気持ちになって行動をする。もし、物事が間違っているなら、正直にその場で物申す。ここで、大切なのが感情的にならないこと。海外生活8年間で学んだことだ。

芯のブレないスポンジになる

鶴岡 真奈(立教大学経営学部2年、20歳)

 多国籍の人々が取り巻くグローバルな社会で活躍できる人材になるには、自らが「スポンジ」になることが重要だ。スポンジは、周りの水分を吸収して膨らみ、洗剤を用いることでさらなる効果を上げる。

 スポンジが吸収するのは、外部の知識という「水分」だ。ここで必要不可欠なのは、自分の芯をしっかり持つことだろう。必要な情報や能力は積極的に取り入れるが、自分の核となる芯は決してブレてはいけない。

 スポンジのみでも用をなすが、より高い効果をあげるには洗剤が必要となる。それが「英語力」だと考える。英語はグローバル社会で活躍し、困難な場面を切り抜けるうえで大きな役割を果たす。ただし、これはツールにすぎない。重要なのは、英語を用いて何を成し遂げるかだ。ツールばかりをいくら磨いたところで何も生まれない。このツールを効果的に使うスポンジ自体の能力が問われるのだと思う。

アジアの現地工場でインターンシップ

斉藤 泰伸(大阪大学法学部2年、20歳)

 これからグローバル社会で活躍できる人材になるには、中国やインド、フィリピンなどアジア各国の現地工場で、学生の間に長期間、少なくとも半年間はインターンシップを経験することが必要だと考える。これを実現するためには企業の協力が不可欠だ。そのための具体策として、企業が「塾」という形でインターン学生を受け入れる機会を設けてはどうか。現在、日本企業の多くは、即戦力となる人材を求めているといわれるが、企業での実体験なしに即戦力になるのは不可能に近いと思う。大企業などはアジアをはじめとする人件費の低い国に多数の現地工場を持っている。そこで実際に仕事をするという経験は、アジアのパワーを身をもって知る絶好の機会になるだろうし、日本人の代表として働く責任感を養うことにも大きな効果を発揮するだろう。もちろん、塾なのだから授業料も取ればいいと思う。

Change!

孔 令辰(青山学院大学専門職大学院修士1年、27歳)

 チェンジという英語の言葉は動詞では「変わる」「変える」という意味だ。そこから類推して、名詞としては「変わり者」という意味で使ってみると、チェンジはグローバルな社会で活躍できる人材に必要な2つの資質を言い当てるキーワードになると思う。

 まず「変わる」という面では、日本人固有の民族性、つまり閉鎖的という性格を変え、マインドから視野まで全部をオープンにすることを指す。周囲の様子に気を使い、空気を読んでばかりいるのではなく、未来を見据え、現状を打破するという志を持つのが、一つめのチェンジだ。

 その上で、グローバル社会はもう一つのチェンジである「変わり者」の登場を待ち望んでいると思う。彼らは世間にどのように見られても、自分の性格、考えなど真の自分自身をあくまで貫き通す人材だ。一般の人とは違う、ぶれない「変」な資質こそ、この世界をも変えられるのではないか。

もうひとつの「C」

戴 笠瓊(一橋大学経済学研究科修士1年、24歳)

 小島会長は、国際社会の人材には「4つのC」が必要と訴えておられるが、私はさらにもう一つの「C」、すなわち「Characteristics(個性)」も必要ではないかと考える。外国人学生の私にとって、実は、困った時期があった。就職のため、少し高価なスーツを買ったが、企業の説明会に行ったら、他の学生は全員、無地の真っ黒なスーツを着ていた。「スーツを変えた方がいいよ、ストライプがあるから」「個性が反映されるから、不利になる」と友人に言われた。

 また、「もし面接の時に面接官から『色にたとえたら、自分は何色ですか』と聞かれたら、『白です、何色にも染まるから』と答えたらいい」とも助言を受けた。「個性を捨て、会社の型にはまれることを示すので正解」だということのようです。

 スーツだけでは個性を判断し難いにもかかわらず、個性をアピールするよりも個性を表に出さない方が安全だからこそ、就職活動などで学生はみな、真っ黒なスーツを着ているのだろう。

 多くの企業がグローバル進出をスローガンのようにアピールしている現在、一番必要なのは個性だと考える。創造性や大胆さなどとつながる個性を捨てるような行動や考え方には疑問を感じざるを得ない。

鎌倉武士になる

陳 旭(国際基督教大学教養学部4年、23歳)

 NHKで放送されたモンゴル帝国の日本侵攻は興味深かった。征服した中国と高麗から人材や火薬技術を吸収し、次々と他国に攻め込む帝国の野心と知略に圧倒された。さらに、一丸となって国家存亡の危機から日本を救った鎌倉武士に敬服した。現在、日本は再び難局にある。しかし、同質で競争を好まない平和な時代が続き、人々の感覚が鈍化・まひした。新しい日本に向け、まず海外の人材や技術を取り入れ、あらゆる世代が一丸となって対処することが重要だ。次に、強い好奇心を持って、自ら海外で磨き成長する“鎌倉武士”の存在も必要となってくる。10代から積極的に海外に出かけた実体験から、国際人の育成には「強い好奇心」が必要だと考える。私たちは好奇心によって行動し、困難な局面においても、結果への好奇心から諦め難くなると感じるからだ。英語だけを国際人の基準としていた古き時代を終え、私たちは進化し続ける真のグローバルな時代にいる。変化し続け戦い続けるために、好奇心は唯一不変かつ柔軟な武器だ。

3つの力

早瀬 憲太(京都大学理学部2回生、20歳)

 3つの力とは、「応用力」「行動力」「創造力」である。昨年の東日本大震災の時に「想定外」という言葉をよく耳にしたが、応用力を持つ人物こそ、生活の中で頻繁にあらわれる想定外の出来事に対応できると思う。情報化時代の現在、すべての情報を得てから行動するというのではあまりに時間がかかる。直面している課題に取り組む際に、周囲から評価を得る、一目おかれるのは、ある程度の情報を得た時点でその情報を基に自分の考えを付加し、とにかく一歩を踏み出せるような行動力のある人物である。

 日本の教育は、当たり前が正しいとされてきた。例えば、「林檎(りんご)」の絵を描けと言われたときに、黒い林檎を描けば「おかしい」との指摘を受ける。しかし、約70億人が生活するグローバルな社会において、赤い林檎を描いてもほとんど評価を受けないだろう。むしろ、黒い林檎を描いた方が、なぜ描いたのかと注目され、その理由いかんでは、きちんと評価されるケースもありうるのではないか。そこに必要なものこそ創造力である。

 自分の経験や知識に基づき目の前の課題に迅速に取り組み、創造的な個人の色を出していける人物こそがグローバルな社会で活躍できるだろう。

ローカルな視点で

佐藤 信吾(慶応義塾大学文学部1年、18歳)

 グローバリズムとは、グローバル資本のために人間が奉仕するという資本の自己目的化のためのものではないはずだ。生産活動にしろ商業活動にしろ、グローバルな経済活動の目的は人々の人生を豊かにするためのものだ。そうであるならば、グローバリズムにおいて最も重要な視点は、顧客一人ひとりのニーズに合わせたローカルなものなのではないか。常にローカルな視点を持ち続け、かつグローバルに俯瞰(ふかん)的な視点から経済を眺めることができる人材こそが、グローバル人材と呼べるのだと思う。必然的にそれは、世界の有限性と人間の豊かさの調和を考えられる人材だ。太古から、人間は世界は無限であると考えてきた。しかし、グローバリズムの進行で、我々は世界の有限性に気付かされた。この有限である世界と人々の幸福を調和させられる人、またそれを志向する人こそが、真のグローバル人材だと思う。

「隣国の学生から学ぶ」

笹岡恵梨(津田塾大学学芸学部3年、21歳)

 私は留学先の韓国でグループワークの多さと韓国の学生の積極性に大変衝撃を受け、自信喪失に陥った。韓国ではどの授業もグループ発表や討論が頻繁にあり、日本のような自分だけの学びでは済まされない。授業中は学生自ら積極的に発言をし、学生主体で進行される。英語の授業も同様で、文法も発音も不正確だが、皆自信を持って話しているのがよく伝わってくる。ことばをどれだけ流ちょうに話せるかは関係ないのだ。私はこれらの授業を通し、自分を「見せる」力と他者と協力して物事を達成する力を身につけられた。いま私たちに必要なものはまさにこの2つの力だ。どちらも社会に出たら必要になるスキルだが、社会に出る前から身につけておけば、グローバルな社会にいきなり飛び込んでも自分の能力を最大限に生かし、堂々と自分を発信していけるはずである。一日も早く日本の学生が、海の向こうの学生たちの学びの姿勢が自分たちとどれだけ異なるかを知り、見つめなおす必要がある。

柔軟・貪欲な第2の津田梅子に

石橋 詩織(跡見学園女子大学マネジメント学部3年、21歳)

 近現代における日本のグローバル化の始まりは徳川幕府の開国だ。ここから明治にかけて、新たな風を日本が受け入れることになる。この時代、日本の女子教育に大きく貢献した1人の女性が津田梅子だ。彼女こそグローバルな社会で活躍できる人材に必要な要素を備えているのではないか、と思う。

 津田梅子は6歳という年齢で岩倉使節団に随行し、渡米した。環境が大きく変わるなかで英語を学び、キリスト教への信仰も芽生えた。旺盛な知識欲を持ち、ラテン語や心理学などの習得に励んだ。2度目の留学を経て、 日本では行儀作法の延長でしかなかった女子教育を変えようと生涯奮闘した。

 こうした彼女の生き方からは、グローバル人材に必要な2つの要素を見いだすことができる。1つ目が、今ある環境を謙虚に受け入れる姿勢だ。変化する環境に柔軟に対応できれば、日本・海外という概念の壁を越えて活躍できる。2つ目は、学びに貪欲であること。学びは書籍からも人からも得ることができる。こうした第2、第3の津田梅子が生まれれば、再び新たな風を日本に取り入れることができる。

ナイスガイになろう

森 貞誠(愛媛大学法文学部2年、20歳)

 私の経験では、社交性こそが重要だと考えている。初めて会ったときに「ナイスガイ」と認められるかどうかで、その後の関係が変わる。世界で戦うためには英語力や高度な知識も必要だろう。しかし一度認められれば、英語力や知識が多少欠けていても意見に耳を傾けてもらえるものだ。

 逆に言うと、社交性に欠ける人は実力を発揮するチャンスをなかなか得られない。 日本人の謙虚さや礼儀正しさは世界でも評価が高い。外国の人から感謝されるような日本人らしい言動はグローバル人としてきっと役に立つだろう。

 世界の舞台では、遠慮を捨てて道を切り開かなくてはならない。あらゆる場面で一歩踏み込む勇気が求められる。その勇気を持てば、ナイスガイに大きく近づけるはずだ。

言行一致の人になること

山口 保輝(西南学院大学法学部3年、21歳)

 グローバルな社会で活躍できる人という文言は、言行一致の人とも言い換えられると考える。「活躍」とは単に人を蹴落として上に進むことではなく、自分の信念を持って言ったことはやり通す。このようなことを積み重ねていける人間こそが社会で活躍できるのではないか。そうしたグローバルで活躍できる人材になるために海外に行き、これでもかというぐらい自分の無力さを経験すること、そこから志の重要性を身をもって体感することが重要だと思う。

 私自身、1年間アフリカのウガンダの少年院でインターンをさせてもらった。行く前は、少年院の子たちを変えてやろうと思っていたが、実際に麻薬やシンナーで目がうつろな子たちや腕が腐った子たちがなぜか少年院にいるのを見て、立ち尽くすしかなかった。途方もない挫折感を味わい逆境精神を増強させていくことこそが、会長が言われるグローバル人材への近道だと思う。

水商売に学ぶ接客術

川島 興介(慶応義塾大学法学部4年、23歳)

 私は世界で活躍する人材を「国籍・思想を問わず、どんな人間も巻き込んでいける人材」と定義した。4Cの中で特に難しいのはCommunicationだと考える。なぜなら他のCが精神論であるのに対し、精神だけではどうにもならない能力だからだ。だが企業にとっては海外との懸け橋としての役目を期待するため、相手側と良好な関係を築ける能力は高いレベルを要求される。そこでその道のプロである水商売のテクニックを勉強する必要があると考えた。すると相手との信頼関係を深めるテクニックとして、聞き上手・質問上手・気付かせ上手になることが重要だとわかる。これらを実践するには浅くても広範な知識・相手の真意を理解するリスニング能力・様々な意見を昇華できる問題解決能力を備えていることが不可欠だ。自分の殻を破りあらゆる知識や経験を蓄え、さらに人を惹きつけるテクニックを磨けば世界で活躍する人材になると結論付けた。

生きた授業

草野 帆南(広尾学園高等学校3年、17歳)

 グローバルな人材の育成は、今の日本の教育を続けていく限り難しいだろう。確かに留学という手もあるが、社会経験もない学生が留学するというのは、素手で戦場に赴く戦士のようなものではないだろうか。

 私は生まれてから、スイスや英国の現地校に通い、海外での教育を受けてきた。中3で帰国し、日本の教育を受けた際、正直受け身の授業に驚いた。暗記とテストの繰り返しだったためだ。海外では、先生は生徒に「教える」のではなく、「させる」授業をする。授業はいつも論争になる。様々な人種がいるので、論争はおのおのの国の習慣や宗教にまで及ぶ。友人に負けたくないので、生徒は皆、自国のことはもちろん、常に色々なことに興味を持ち、調べ、アンテナを張るようになる。そうしていくうちに、徐々に自分の考えも確立されていき、それが個性と自信となっていくのだった。

 授業は生きていなければいけない。黒板に書かれたことを懸命に書き写すだけの授業からは、もう卒業すべきだ。

Keep On Trying(挑戦し続ける)

草苅 愛(日本大学高等学校2年、17歳)

 世界がグローバル化してきている今、日本人はある窮地に立たされていると思う。コミュニケーション能力の欠乏だ。この根底には、確立した「自分」を持っていないことがあると思う。もちろん、日本人が持っている協調性・勤勉性は国際社会においても重要なスキルであろう。しかし、私たちが自信を持って活躍でき来るようになるためには、「自分が傷つくことを恐れずにチャレンジし続ける」精神を身につける事が大切だと思う。そこでまず、外国の異文化や習慣を学んだ上で、外国の方との意見の相違に柔軟に対応していく力を養うことが必要だ。過去に行われた国際的な会議の中の意見を例として取り上げて、もしも自分がそこに参加していたら、どのような意見を持ち、どう結論をまとめるかなど、自発的に意見を述べることのできるプレゼンテーション能力などを身に付けるとよいと思う。これを実行することにより、実践力を養うとともに、どんな難題が出されても対応できるようになるに違いない。

様々な国の文化・価値観を理解

安藤 優甫(海陽中等教育学校2年、14歳)

 グローバルに活躍できる人材とは、ある問題に対して世界中の人が賛同するような答えを臨機応変に出せる人だと思います。具体的には、世界の多くの国が抱えている問題がある場合、その問題に対してできるだけ関係のある国々の納得が行くような柔軟な結論を導き出せるような人でしょう。そのような人になるためには、色々な文化・価値観を理解して、それらを尊重できることが必要だと思います。今自分が通っている学校では様々な国から来た帰国子女の生徒と一緒に24時間過ごすため、色々なバックボーンを持つ人と触れ合うことができます。このように小・中学生の時から自分とは大きく違う考え方や、国の文化を持つ人と接することで将来国際社会でも臨機応変に対応し、物事を進めていく能力が備わってくると思います。私はこのような学生生活を通じて、他国の文化・価値観を理解し、それを将来に役立たせるため、毎日の時間を大切にし、成長していきたいです。

「日本」を学ぶじゅぎょう

秋元 栞(成蹊小学校2年、8歳)

 小学2年生になって「自分を大事にすること」を先生から教わりました。そして先生は「自分を大事にするためには、まず自分のことを知ることがひつようです」と教えてくださいました。

 世界中で活やくする人になるためにも、自分を大事にして、自分たちのことを知るひつようがあると思います。私は自分の国「日本」についてもっとべん強して、知らない人にも話せるようになりたいです。

 そのために「日本」というじゅぎょうがあったらいいと思います。日本のきせつや自ぜんをかんさつしたり、お茶やおどりをならったり、新聞のニュースをみんなで考えたりする時間です。

 私の先生は時々お茶をたててくださいます。とても心がおちつくので私は大好きです。きせつのことばや虫や花の話もたくさんしてくださいます。

 ニュースにはわからない言葉やれきしの話がたくさん出てくるし、お友だちがそれをどう思っているか知りたいから「日本」というじゅぎょうで話し合ってみたいです。

講  評

 グローバルな社会で活躍できる人材になるための指針について数多くの回答を寄せていただき、大変うれしく思っています。今の若い世代の皆さんから前向きな回答をいただき、誠に感激しました。悩んだ末に選んだ3つの回答以外にも、「空気を作れる人になる」「捨てる勇気」「芯のぶれないスポンジになる」など、熱い思いを語っていただき、全てを紙面では紹介できないのが残念です。

 「皆さんからのメッセージを読みながら、日本の若者は必ずしも「内向き」でなく、国際的に活躍する意欲と素地は十分あると感じました。同時に、日本社会には、ともすれば異質、あるいは新しいものを排除する傾向があり、年配者が若い人の議論を封じてしまっている面もあるのではないか。大切なのは、若い人が失敗を恐れずに、自分の夢に挑戦する機会を思い切って与える社会に変えていくことなのではないかとも思いました。

 ノーベル生理学・医学賞の受賞が決まった京都大学の山中伸弥教授の例は典型的だと思いますが、野球のイチロー選手やサッカーの香川真司選手は、夢を長年努力して追い続けて、一流のプレーをすることによって世界の人々に感動を与えており、日本から世界への大きなメッセージとなっています。文学や音楽、建築の分野でも同じように活躍している日本人は数多くいます。

 これらの人々に共通しているのは、「倫理」など、よって立つ普遍的な規範を追求し、かつ「大局観」を持って日々行動している点です。更に、そういった人々は、自分の属する組織(学校や会社、地域社会)に対して自らがどう関わって行くかを常に意識し、志を持って貢献しているのです。

 ビジネスや政治の世界でも、このような人材をより多く輩出することが、これからの日本の重要な課題だと考えています。

 仕事柄海外と接する機会が多いのですが、真面目さ、謙虚さ、協調性など、日本人の良い部分は国際的に広く認められています。これらの長所と、皆さんの主張や思い、そしてそれを実現するための行動は必ず両立するものです。

 ご寄稿いただいた方々には、意見を述べて終わりにするのではなく、その意見を行動に移してみてください。そして本欄をお読みいただいた皆さんには、これからも自信を持って自らの夢を追い続け、その実現に努めることにより国際社会に貢献する人になってもらいたい。夢そのものは時によって変わっていくものですが、大事なのは夢を持ち続け、その実現に向けて日々を生きることだと思います。

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