未来面「革新力」経営者編第13回(2016年12月5日)

課題

コンビニの未来の姿を考えてください

井阪隆一・セブン&アイ・ホールディングス社長

※肩書き等は掲載当時のものです。原稿のため、掲載時とは差異があります

「コンビニ」は、世の中をよくできるか。

 最近、新規に出店する「セブンイレブン」の標準的な店舗面積は約200平方メートルです。百貨店や大型スーパー、ショッピングセンターは数万、いや十数万平方メートルにもなります。そんな小さなお店ですが、約1万9000店舗を束ねるととても大きな力になります。1年間の総来店客数は約70億人、おにぎりの販売個数は約21億個、全店舗の売上高は4兆3000億円です。

イノベーションで需要創る

 今回、読者の皆さんには、この小さな街のお店に、革新的な商品やサービスなどの新たなアイデアを吹き込んでもらいたいのです。お店を拠点として考えてもらっても構いません。駐車場やお店の屋根、配送のトラックなどの活用もありです。店舗にあるマルチコピー機はネットでチケット会社や自治体などとも結ばれています

 コンビニ業界は、10年ほど前に飽和や成長の限界説がささやかれました。しかし、セブンイレブンは新たな商品やサービスを創造して成長を続け、乗り越えてきました。

 ブレークスルーが可能だったのはイノベーションがあったからです。例えば、セブンイレブンでは2000年代になってからセブン銀行を立ちあげました。金融機関の支店が減りつつあったころに、24時間いつでも現金の預け払いが可能で「お財布代わり」として利用者に支持されました。セブンプレミアムというプライベートブランド(PB)商品では、共働き世帯の増加などが進む中、時間や手間をかけずに料理できるおいしい食品や便利な商品を有力メーカーと組んで開発しており、売上高は1兆円を超えました。昨年からはグループが扱う商品をネット経由で注文してセブンイレブンの店頭で受け取れる「オムニチャネル」にも挑戦中です。

 かつてセブンイレブンに来店されるお客様の年齢層は20代の若い人が多かったのですが、今では50歳以上が最も多くなりました。セブンイレブンに求められる便利さが変わるのも当然です。読者の皆さんには、これからのセブンイレブンに求められる「便利さとは何か」について考えていただきたいのです。私たちは「近くて便利」という標語を掲げて、便利さの創造に取り組んでいます。皆さんと変わり続けるコンビニの便利さを追求して、より社会インフラや拠点としての役割を果たしていきたいと思います。

アイデア

レジなし、ゲートで自動精算

鳥羽 裕介(会社員、23歳)

 コンビニの未来はレジレスだ。コンビニが便利という原点は、狭い店内に所狭しと並べられた様々な種類の商品にある。この強みを最大限生かすには、陳列スペースを確保するため、レジのある場所を縮小する必要がある。私の考える未来のコンビニでは、お客が店内に入り、レジ袋に商品を入れながら買い物をする。出入り口のゲートを通れば自動で合計金額を計算し、ICカードで支払いを済ませるというしくみだ。これならお客が一度カゴに入れた商品を、店員がレジ袋に移し替える必要も無ければ、レジのスペース縮小にもなる。レジでの混雑も無くなりコンビニの人件費削減にもつながる。人口縮小社会では、必要最小限の人員で最大限の顧客満足度を引き出すべきだ。それがコンビニの未来の姿になる。。

病院と連携、健康チェック拠点に

加賀山 祐樹(会社員、52歳)

 瀬文さんは働き盛りの50歳。ある月曜の朝、いつものように家を出て会社に向かったが、なんとなく体調がおかしい。気になる瀬文さんは駅前のコンビニに設置されている「Medi-BOX」に駆け込んだ。体調を入力しスーツを着たまま全身スキャン。1分後に医師の診断結果が届き、念のため医師と直接、話をして、その足で病院に向かった。より詳しく検査したところ、脳梗塞の前兆がみられ、本格的な治療を始めた。発見がもう少し遅ければ大変なことになっていた。入聞さんは会社の最寄り駅にあるコンビニの「Medi-BOX」で出社時と帰宅時のストレスチェックを欠かさない。その場で専門家のアドバイスが得られうまく体調をコントロールできるようになった。このように、将来、コンビニは周辺医療機関や医療専門家と連携した市民の「健康管理コアステーション」となる。

家事代行で暮らしサポート

松浦 友佳利(産業能率大学経営学部3年、21歳)

 「近くて便利」を強みにして商品やサービスを提供してきたコンビニだが今ではスマートフォン1台で何でも手に入る便利な時代となった。そんな中でコンビニが次に求められているのは暮らしのサポートではないか。例えば、洗濯や買い物など家事の代行サービスだ。朝の通勤時に洗濯したいものをコンビニで手渡し、帰宅時に済んだものを受け取る。外出中には家事も代行してくれるため、消費者は時間を有効に使える。またお店に入ってもらう機会をつくることで、通勤時なら昼食、帰宅時なら夕飯のおかずなどの購入を促す。サービスを利用するついでの買い物、という感覚だ。このサービスは立地条件が大切で、コンビニの強みを有効活用できる。「近くて便利」な未来のコンビニは人々の暮らしに大きく役立つだろう。

以上が紙面掲載のアイデア

日本にとどまらないコンビニの姿

阿部 友香梨(駒沢大学経営学部3年、20歳)

 私は将来、外国人観光客向けのコンビニができると考える。訪日外国人の数は年々増え続けており、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、政府も観光業に力を入れている。現在の日本のコンビニは日本人に合った食べ物や商品が置いてある。しかし、外国人が増えてもこのまま日本人向けの物ばかり置くのかというと、少し違う気がする。コンビニは近くて便利であることを強みとしているが、それは日本人だけでなく、訪日外国人にとっても同じだ。そこで、外国人向けの、各国の商品が置いてあったり、表記の仕方も数種類の言語で表現したり、日本のおすすめ観光地などの本も置いてあるようなコンビニを提案したい。外国人向けには作りますが、品ぞろえの良さや24時間営業しているといった点は日本と同様にして、日本のコンビニの良さを伝えていけたらと思う。

思い切って商品棚を全面タッチパネルに!

平岡 肇(会社員、49歳)

 タッチパネル化により店内の空調管理もしやすく、省エネにもなり店員の健康にも役立つ。冷蔵商品をレジで受け取れるように連動すれば、商品を手で持つ客は冷たいものを運ぶ必要がない。客が商品を選ばないため消費期限の迫ったものから販売でき、ロスを少なくできる。弁当等、他人の触った品を購入することに抵抗のある客にも衛生的だ。タッチパネル化で、客は簡単に栄養等の情報を得ることができ、生産者はより差異化できる商品を生産しようと好循環が生まれる。書籍の立読み客に不快を感じる客もいるが、タッチパネルに切り替えれば、気持ち良い店作りができる。スペースもでき様々な活用方法が生まれる。店を小規模化でき、店主は少ない出資で開店することも可能になる。

地域のミニ防災拠点

堀切 憲治(無職、67歳)

 コンビニの屋上や地下といった建物内や敷地内に、防災グッズや飲料水、乾パンなどの備蓄品を置き、災害時のミニ拠点とする。自治会とも連携する。配送の車は緊急時は災害時の物資を運べるようにしておく。さらに、コンビニ建物の上部壁面を有効利用するため、電光掲示板仕様とし、普段は店内商品の宣伝用に使用し、災害時は災害や被害状況等の最新情報を表示する。以上の案は自治体や警察等との連携が必要だ。コンビニが地域の災害時のミニ拠点として、地域の住民の人たちに安心感を与えるものと考える。

地域内の安全・防災・生活の拠点

有雅 修也(会社員、59歳)

 コンビニを地域内の安全や防災、生活の拠点にしたらどうだろうか。建物の屋根に太陽光発電設備を設置して蓄電し、停電時に対応できるようにする。駐車場地下に雨水貯留槽を設け、散水等に利用する。併設する仮設トイレの排水に使う。飲料水の貯留施設を設置する。地域防災の伝言版のように情報網の拠点として活用する。仮設シャワー施設を設置する。さらに地域住民が最寄りのコンビニに所在などの登録をして安否確認などに活用できるシステムがあるとよい。高齢者の生活や困ったことの相談の窓口に活用できるようになったらよいと思う。

フードロスをゼロに

井上 千花(東京大学経済学部4年、21歳)

 コンビニには「ムダ」がある。特に大きいのは食品のムダだ。そこで私は未来のコンビニの姿として「早朝食堂」を提案する。具体的には早朝、賞味期限が切れる直前の食品をコンビニの裏口や近くの公園などで無償提供するのだ。まだ食べられる食べ物が一定時間が過ぎると「ごみ」にされてしまうのはとてももったいない。「捨ててしまうくらいならもらって食べたい」と思う人もいるだろう。賞味期限直前の食べ物も貧困層や早朝に帰宅する人などには需要があると考えた。コンビニも廃棄物処理のコストを削減できるだろう。企業の社会的責任(CSR)の点からも評価を得られるかもしれない。実行には課題も多いが、コンビニが既存の資産を有効活用することで社会に新たなメリットを生み出すことができると期待している。

24時間から脱する

玉木 正美(自営業、46歳)

 すでにコンビニは実際に社会のインフラの一角を担っているが、会社としての透明性もこれからの時代、必須になっていくのではないだろうか。店舗と周辺地域を含めた治安の面と、労働人口など人手不足の面、さらに従業員らの業務軽減の面からして、24時間営業という「縛り」から脱してもいいのではないかと思う。一般の利用者から反発もあるのではないかと思われるが、時流でもあるので受け入れていくことが結局、事業や仕組みの維持につながっていくことと感じている。

レシートが医療費削減の切り札に

尾藤 光(駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部3年、21歳)

 コンビニで会計時にもらうレシート。そこに食品や飲料のトータルのカロリーや栄養価も表示するようにしたらどうだろう。総カロリーや塩分、ビタミンなどをレーダーチャートにして見せると分かりやすく、レシート1枚で栄養指導ができるかもしれない。日々のデータを蓄積してアプリで管理すれば、さらに便利だ。顧客がより栄養管理しやすくなるほか、コンビニにとってもビタミンが不足していれば野菜ジュースを勧めたり、たんぱく質が足りなければサラダチキンを売り込んだりできる利点もある。私はフィットネスジムで会員の栄養指導も手がけており、栄養管理に不安な会員の声を聞いて思いついた。コンビニで昼食を済ませる社会人や学生が多く、栄養バランスが偏ってしまうのではないかと不安に思っている人は少なくない。コンビニが情報の見せ方を工夫するだけで、消費者の健康意識を高めて、日本の医療費削減につなげることができるのではないか。

保育園落ちた、コンビニ行こう

橋本 勇樹(神戸学院大学法学部、21歳)

 現在、少子高齢社会で待機児童が問題となっており、「保育園落ちた日本死ね」という言葉が今年の流行語にもなった。そこでコンビニの上に保育園を併設するのはどうか。現在保育士資格の保有者はたくさんいるが、実際に保育士として働いていない人も多くいる。その人たちの雇用を増やすこともでき、また子育て中の母親がパートとしてコンビニで働き、コンビニに併設された保育園に子供を預けることで子供に何かあってもすぐに連絡できるというメリットがある。駅前以外のコンビニでは広く駐車場が確保できているところも多くみかけ、送り迎えが車ででき、かつ、迎えに来た親がそのままコンビニで買い物ができることもメリットだ。

幼少時代のワクワクをもう一度

倉田 宙弥(駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部2年、20歳)

 私は革新的な商品の一つとして「中身がわからない弁当」を提案したい。普通、商品を購入する時、人は商品名やパッケージ等の情報を基に商品を選ぶ。従来、購入のきっかけとなっていたこういった情報を無くすのだ。幼少時代を振り返ると、私は母親の弁当を口にする機会があまりなかった。それゆえ、学校遠足があるときはその数日前から「お弁当の中身は何だろう、好きなものは入っているかな」とあれこれ考えた。当日の中身に一喜一憂した経験は皆さんもあるだろう。そんなワクワクを最近味わえているだろうか。自分が好きなものを中心に商品を選ぶ、それが当たり前になっていると思う。健康志向が強まっている世の中を踏まえ、表示する情報はカロリーやアレルギー等の栄養表示にとどめ、あとは企業に任せる弁当を売り出す。定期的に内容を変更し、日常生活にワクワクを提供する。これまで築き上げてきた歴史や、消費者からの信頼があるコンビニだからこそ提供可能だと私は感じる。

コンビニ×選挙

大角 武(東洋大学法学部、20歳)

 私は、コンビニと選挙を結び付けて考えた。国民の政治に対する関心は今なお低い。そこで考えたのが、コンビニと選挙の組み合わせだ。選挙時期が近づいたら、試験的に無作為に選ばれたコンビニの出入り口に2つのゲートを設けるというものである。コンビニの利用者が入る際はどちらのゲートを利用しても構わないが、コンビニから出るときにAゲートかBゲートどちらかを選ばせる。例えば「環太平洋経済連携協定(TPP)に賛成の人はAゲートを、反対の人はBゲートをご利用ください」とレジ脇に記載しておく。コンビニに入った以上そこから出なくてはいけない。それはつまりどちらかのゲートを選択することを意味する。コンビニは利用者に選挙(政治)に関して興味を持ってもらうよう働きかける場所になる。毎週どれくらいの人数がAまたはBのゲートを利用したのかを出口に備えたレーダーを利用して店舗ごとに集計し、そのデータをインターネット上に公開すると、政治課題がずっと身近なものになるだろう。

講  評

 読者の皆さんから大変多くのアイデアを投稿していただきました。「セブンイレブン」という小さなお店に対してさらなる期待や可能性を感じさせる内容のアイデアがたくさんあり、私たちは社会的使命を帯びた企業グループであることを改めて意識することができました。

 「レジなし、ゲートで自動精算」ですが、既に米アマゾン・ドット・コムが実験を始めていて、日本でもそうした店が登場するのは比較的近い将来かもしれません。このアイデアにはもう一つ重要な可能性があります。店に商品を納品する際にも活用できるからです。検品作業がなくなり、人手不足にも一役買うでしょう。

 「病院と連携、健康チェック拠点に」は生活動線にあるお店に気楽に立ち寄って健康チェックするというもの。実現すれば新たな価値創造になるはずです。医療機関や行政と連携すればより効果的なサービスになりますね。

 「家事代行で暮らしサポート」はまさにこれからもっと積極的に取り組まなくてはいけない課題です。「近くて便利」を掲げるセブン―イレブン・ジャパンとして、生活に必要な新たな拠点作りを目指します。

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