未来面「革新力」経営者編第9回(2016年8月1日)

課題

世界をリードする『人財』をどう育てるか?

永瀬昭幸・ナガセ社長 東進ハイスクール理事長

※肩書き等は掲載当時のものです。原稿のため、掲載時とは差異があります

「教育」は、世の中をよくできるか。

 英国が欧州連合(EU)からの離脱を決めたり、米国では共和党の大統領候補が話題を呼んだり、国家におけるリーダーの存在が今、問われています。自分の利益や名誉のためではなく、真に国民のことを考えられる指導者が必要になっています。これは日本にもあてはまることだと思います。

高い志と教養、そして英語の発信力

 そうしたリーダーを育てるためにはどうしたらよいでしょうか。子供のころから受験勉強や成績のことばかり考えて育ったら、大人になっても急には人格者になれません。私は長らく教育産業に携わった経験から、本当の意味でのリーダーを育てることが今の教育に求められていると実感しました。

 日本ではゆとり教育に象徴されるようにエリート教育が長い間否定されてきました。日本経済が右肩上がりの時代はそれでよかったかもしれませんが、これからの激動の時代には世界の政治や経済をリードできる人財が必要です。あえて「人財」と呼ぶのは、国や企業にとって人間こそが財産だからです。

 では真のリーダーに必要な資質とは何でしょうか。一つは志の高さであると思います。子供の頃から「リーダーとは何ぞや」ということを考える機会を与え、「ノブレス・オブリージュ」の精神を育てることが大切です。これは私流の解釈では「優秀な人間の責任と義務」と訳しています。自分の才能を世のため人のために生かしていきたい、という気持ちと目的意識を育むことです。大人になり社会という答えのない世界に出ても、論理的に考え最適な答えを導き、問題を解決できる人間になる。こうした力は日常教育の中で長い時間をかけ鍛えられるものだと思います。

 もう一つは英語で堂々と自分の意見を発言できることです。日本人の学力は理数系科目は世界のトップ5に入りますが、英語のスピーキング能力は10年連続で世界最下位です。翻訳偏重の英語教育が間違っていたからだと思います。もちろん英語が話せるというだけでなく、自分の意見が言えるには幅広い知識と教養が必要です。もっと本を読み、自分の頭で考えられる力が求められています。

 学校教育も重要ですが、今後は官民がもっと連携していくことが大切です。世界をリードする人財をどう育てればよいのか。これは私たちにとっても永遠のテーマであります。ぜひ皆さんのお考えをお聞かせください。

アイデア

子どもの好奇心育んで

蜂須賀 大河(逗子開成中学校3年、15歳)

 僕はこれからの日本を担う子どもの好奇心をもっと育むべきだと思う。なぜなら、僕も含め、周りの友達の日本の政治や世界への関心が薄いと感じているからだ。好奇心育成のために、今の教育をどう改善すべきか。1つ目は、親や学校が積極的に世界や国内で起こっている出来事を話題として子どもに提供し、物事を考える機会を与える。実際、僕の通う学校では社会の授業で先生が最近起こっているニュースを取り上げ解説する時間がある。2つ目は、英語だ。ただ日本語に訳すだけの小難しい英語を学ぶ、という勉強だけでは、あまり楽しくない。だから、もっとネーティブの人と英語で会話する機会を増やしてほしい。そうすれば自分の英語が通じた喜びを味わうことができ、楽しく勉強することができる。

海外の中高生と同世代交流

村田 洋佑(東京大学経済学部4年、22歳)

 今の日本は多様性に触れる機会が不足している。多数派への迎合が善とされ、日本のリーダー層のバックグラウンドは画一的だ。例えば現代のエリートは似通った家庭や出身校だろう。同じ背景を持つ者の間では得てして、偏見を多分に含んだ「正解」が構築されてしまう。正解のある問題で満点を目指すのは授業内にとどまらない。エリートによる固定観念は思考停止につながる。海外の中学・高校生世代を日本に呼び、多様性に富む教育環境を学校で築けないだろうか。変化に適応できる中高生に、自分と異なる背景を持つ同世代との時間はかけがえがない。東南アジアの途上国には、高い志を持ちながら貧困に苦しむ未来のリーダー候補がいるかもしれない。奨学金や学校間の連携でこうした学生を招く教育環境が提供されるなら世界をリードする人財の芽が育つきっかけとなるはずだ。

幼い時からグループワーク

鵜飼 歩美(早稲田大学文化構想学部社会構築論系2年、19歳)

 人財の育成には幼いころからリーダーとなる素質を身につけさせることが大切だ。そのためには、グループワークの授業を増やすことが重要だろう。グループワークでは話を回す人、記録を取る人、案を積極的に出す人など役割分担が必要になる。話を回す人になれば、自然とリーダーシップが身につく。また他人の意見をくみとれるようにもなるし、様々な考えに触れながら、物事を柔軟に考えるようになる。グループワークのたびに話を回す人を毎回変えれば、皆が「リーダー体験」でき、社会のリーダーとなりうる。こうして育てば成長につれて自ら求める姿勢を身につけ、学力も向上するのではないか。社会に出れば必ず皆をリードする存在になるだろう。

以上が紙面掲載のアイデア

やりたいことを実現するための「計算」を教育で

竹島 雄弥(会社員、27歳)

 世界をリードしてきたのは、いつだってパイオニア精神にあふれる人たちで、彼らはチャレンジャーだった。何の志も計画もなしに挑戦して成功している人はほんの一握りで、大半の成功者は最初から「自分が何をしたいのか」を知り、「どうすれば実現できるか」と計算している。志の持ち方は人それぞれだ。教育者の役割は「計算の方法」を教えることにある。そもそも日本人が挑戦する心を持てないのはリスクを過大に、そして得られるリターンを過小に評価してしまう点に原因がある。この価値観を是正しなければ、挑戦への動機付けはできなくなる。まず「リスクが皆無なのだ」という認識が大切だ。日本の福祉と就職は充実しており、若いころに失敗したっていくらでも受け皿はある、と知ってもらいたい。そして最高のリターンはお金以上に「生きているという実感」だ。誰にもまねできない、自分だけの人生を歩めるのだ。安全なレールの上では決して得られない充足感が得られるのだ、と伝えたい。

根源的な問いで培う人間力

谷口 夢奈(筑波大学人文・文化学群3年、20歳)

 現在の高等教育における「実学偏重主義」を克服する必要がある。地方の国公立大学で人文社会系の勉強をして感じるのは、社会が求める人財と大学が教育している人財にギャップがあることだ。本来、大学は「生」とは何か、「知」とは何か、という人間の根源的な問いを自らの責任において自由闊達に追求できる貴重な期間だと思う。それが社会によって抑制されており、実学ばかり身につけることが求められている。本質を追求することで、自分の価値に気づき、仕事を手段として選ぶことが可能な社会であるべきだ。詰め込み教育が人財の不足要因なのではない。社会と教育機関が求める「人財像」を一致させていくことで、志をさらに高め、ノブレス・オブリージュ(高貴なる者に伴う責任)の精神を持った人財の育成につながるのではないだろうか。まずは社会が、大学の偏差値やブランドにとらわれた採用方法を排除し、「本質の追求」を通して身につけられた人間力を見極められる制度を作るべきだ。

海外留学先ではぜひインターンシップ体験を

佐藤 勝彦(独ブレーメン経済工科大学応用経済言語・国際経営学部客員教授、73歳)

 近年、多くの大学が海外に提携校を持つようになり、海外留学は珍しくなくなった。しかし、単に留学するだけではもったいない。是非、留学期間中には休みを利用してインターンシップを経験してほしい。インターンシップは職業社会の仕事がどのようなものか体験できる。さらに、今まで学んできたことを社会でどう生かすか、また、社会に出るために自分には何が足りないのかを理解する最適な方法だ。海外でインターンシップを経験すると、言葉や文化、国籍の違いが生み出す多様性(ダイバーシティー)を生かし、世界をリードする人財としての基礎が育まれる。その中で、特に世界における自分の力を知り、広く地球社会における解決すべき課題を考えるようになる。視野が広くなるとともに、地球規模で多様に物事を見ることができるようになる。大学での海外インターンシップはまだ黎明(れいめい)期だ。ただ近い将来、大学教育あるいは高校教育の正式な科目となることを願っている。

活発で論理的な議論の環境づくりから

津田 春佳(慶応義塾大学経済学部4年、22歳)

 世界をリードできる人財とは、自分の意見を論理的に主張し、議論できる人間だ。米国の大学に留学していた時に痛感したのは、日本人がロジカルに議論を組み立て、相手を説得するのが苦手だということだった。ディベートの授業は、肯定や否定という立場を与えられ、あらかじめ準備をして挑む。この機会を生かし、自分の持つ知識を基に、即座に意見を主張する練習をすべきだと思う。そのためには、人の意見を聞く力や英語力の向上はもちろんのこと、それ以上に哲学や論理学といったロジカルに主張を組み立てる素養が求められる。また、相手を理解するために自分の国だけでなく、他国の歴史や文化をしっかりと理解することが急務だ。歴史教育の場合は発生した事柄をただ教えるのではなく、その時代を横に切り取り、その事象の政治的、経済的な背景や人々の考え方を理解できるようにすべきだろう。世界をリードする人財育成とは、「活発で論理的な議論ができる環境づくり」から始まる。

家庭と学校教育、そして己と相手を知る

西村 捷敏(無職、76歳)

 3点提案したい。第一に重要なのは、幼児および義務教育の期間中における「家庭教育」の土壌づくりだ。親子や兄弟姉妹間における日常的なコミュニケーションの流れを絶えず維持発展させる土壌を形成することが大切になる。子供のコミュニケーション能力の基礎を育むのに役立つはずだ。第二に、学校教育の改善も重要になる。座学の講義中心から「チームによるケーススタディやグループディスカッション」といった応用・実践的なカリキュラムを加えていくことが大切だと思う。そして第三には「己を知り、相手を知る」という教育の充実と強化を挙げたい。言い換えれば「自国の歴史・文化・現実」を改めて学び直すと同時に、「他国の歴史・文化・現実」をしっかりと学び、いわゆる「比較文化的理解」の素養を身につけることだ。これはグローバル化がさらに進展していく21世紀において、不可欠な教養だと言っていいだろう。以上掲げた3点の「三位一体的教育」を推進すべきだと考えている。

偏差値から資格へ

今村 伸児(会社員、68歳)

 偏差値教育は生徒に序列を付けるため、優越感や劣等感など感覚的なものを子どもの心に残しやすい。それよりは資格が良い。階級制度のもと、初級しか取れないとしても子ども自身が「自分はこれだけは分かっている」と思える。高校生でも大学レベルに挑戦できるようにすれば、今よりも能力の高い高校生も出てくるだろう。同じ能力レベルの友人と助け合い、また競い合いながら、資格合格を目指せる。資格制度のもとでは、順位をめぐる競争ではないから全員合格もありうる。そして、必須科目の資格をそろえた高校生なら、あとは自分が得意な分野を目指せばよい。高校の科目以外に多様な資格を身につければ、個人の多様な能力開発に役立つ。大学や企業は、必要な資格を取得した若者に、入学適性検査をすればよい。高校の学習内容からは出題せず、資料等を与え、理解力や分析力など、社会で必要な力を持っているかチェックする。英語力を伸ばすには、自分の意見を持ち、それを他人に語りたい、という心を育てる教育が大切だ。

教師に「国際理解教育」を

赤井 一繁(団体職員、37歳)

 世界をリードする「人財」を育てるために、対応できる教師を研修などで養成することが重要だ。教育の質は、教育の担い手である教師の指導力によるところが大きい。教師教育の中で、特に国際理解教育が重要になってくる。なぜなら、国際理解教育は「自己と他者の人権を尊重しながら、異なる文化を認め、世界の人々と共に生きていこうとする人間を育てる」ことにねらいがある。その根底には「グローバルな視野を持つ人財を育成する教育への期待」がある。最近になって、いくつかの教員を養成する大学では、国際理解教育の授業を必修にしたり、国際理解教育のコーディネーターとして養成を受けた学生が講師役となり、小中学校でワークショップを開催したり、と充実を目指す動きが見られる。まずは教師教育が変わることが必要だ。その結果、国際理解教育のねらい、すなわち世界の人々との共生を志す人財の育成に近づくことが期待される。

自分の頭で考える勉強こそ必要

矢崎 達人(会社員、51歳)

 大前提として、若い時代にしっかり勉強をする根気や思考力を養うことは必須条件だ。「学歴偏重」を批判する結果として勉強自体を否定するのは間違っている。しっかり勉強してきた力は社会人としての基礎を形づくる。ましてやグローバル時代のリーダーにはむしろ勉強こそ必要不可欠だと認識すべきだろう。日本の問題は、歴史の勉強でいえば年号の暗記など、答えが明確に出る内容にあまりに偏っている点にある。日本史への理解などはリーダーに絶対必要な素養だが、本来学ぶ意味は、なぜその事象が起きたのか、その深い意味を自分で考えることだ。例えば平安時代に新仏教が盛んになったのはなぜなのか。民衆の苦悩と為政者の行動、周辺国の動きを結び付けて考察すると、リーダーとして重要な点が浮かび上がってくる。年号を覚えるだけでは考察にはつながらない。自分の頭で考えることこそリーダーに必要な資質であり、それを鍛える学校教育及び受験制度が欠かせないと考えている。

課題は自分で探し、見つけるもの

武笠 陽介(早稲田大学基幹理工学部1年、18歳)

 いまの教育は、宿題やテストで学ぶべき範囲や問題がすべてあらかじめ与えられる。こういう状況が間違っているのではないか。範囲があるから、子どもはここまでやればいいや、という境界線を作ってしまう。実際に、教科書の端のほうにある発展問題のところは、先生の「テスト範囲外です」の一言でみんなスルーする。このような発展や応用の項目こそ、学ぶことに興味や関心を持てるきっかけになりうる。だから非常にもったいない。また、社会に出れば問題は必ずしも与えられるとは限らず、自分で探し、見つけなければならない。学校で自分が苦手な問題を作ってくる、という宿題があればおもしろい。自分の弱みを分析し、そこから問題という形にする。問題を解くだけでは身につかない、課題を見つけて解決する一連のフローによって課題解決の能力を養うことができる。このように、範囲をなくすことで自由に学びやすくなる。問題は与えられるとは限らず、自ら見つけねばならない状況での教育が世界をリードする人財を育てるはずだ。

小学校で生徒が得意分野を教え合う

川原 聡史(北海道大学大学院生命科学院修士2年、24歳)

 小学校の授業を工夫することで、自分の考えを積極的に発信し、批判的な視点で周りをとらえられる人財の育成を目指す。そんな方法を提案したい。具体的にどのように授業を進めるのか。それは生徒自身が自分の得意なこと(勉強や音楽、スポーツなど)を他の生徒に教える時間や、クラス全員でディベートする機会を増やす、という方法だ。また教師が生徒に一方向的に教える授業においても、教師が生徒を当てて発言させるというだけではなく、生徒から自発的に質問や考えが出てくるような雰囲気づくりを心がける。1つのクラスは多くても25人程度にし、教師が生徒一人ひとりをしっかり認識できるようにする。なお「グローバル化」に関しては、英語圏以外の国に目を向ける視野の広さも大切だ。英語学習だけにこだわらず、まずは様々な国の文化を知る機会が学校教育の中で用意されていることが重要だと感じている。

世代を超えたパートナーシップを築く

高橋 彩(学習院大学法学部4年、23歳)

 世界をリードする人財を育成するにあたって鍵になるのは世代間のパートナーシップを築くことだろう。現代社会が抱える課題の多くは、現役の世代がコストを支払う。そしてそこから得られるリターンは将来を生きる世代が享受する。リーダーはたとえ現役の世代にとって厳しい選択であったとしても、目先の利害にとらわれず、長期的な視野に立った意思決定をする必要がある。そこで、そうした人財を育てるためには、まず各界のリーダーが自らの生涯だけで物事を解決するのではなく、次世代とともに解決していく姿勢を持つべきだと思う。そのうえで、産官学など各界の人材を結集する「ハブ機関」をつくる。そこを起点に、若い世代も交えた幅広い世代が集まる人財交流の仕組みを確立することが不可欠だろう。そして幅広い世代の知識や経験、思いなどを共有することから始め、親から子、孫の世代へといった長期を見据えた投資をする素地を整えるべきではないか。

「経験を積む機会」を全国で

荒澤 涼輔(早稲田大学法学部4年、23歳)

 就職活動を通じて、私は「経験」の重要性を痛感した。起業の経験やディベート大会での活躍など、こうした経験を積んだ人材はその能力はもちろん、機会に恵まれた人でもある。私のような田舎育ちの人間からすれば、そんな機会はほぼ皆無だった。仮に機会があっても意識すらしなかったと思う。官民が協力して、アイデアグランプリやビジネスコンテスト、ディベート大会など各部門を賞金付きで行うのはどうだろう。全国47都道府県で地方大会を開き、最後は全国大会を催す。企業にとっては、協賛によって広告効果も期待できるし、もちろん優秀な学生も発掘できる。こうした「経験」を積む「機会」の提供は、学生からすればたとえ賞金目当てであっても意味があるし、国にとっても将来を担う人材を育てるチャンスだろう。幅広い選択肢を、国や企業が学生に与えることこそが「人財」育成の第一歩ではないだろうか。

まずは小さなことから

塩浦 尚久(早稲田大学基幹理工学部4年、22歳)

 現在日本が直面している課題は国民のことを考えられる指導者をどう育成していくかということである。周りのことを考えられるようになるためには小さいころから利他主義の精神を培う必要がある。ではどのようにすればその精神を培うことができるのか。私は経験を積むことが最も重要なことであると考える。しかし、いきなり大きな組織で行わせようとすると、どう行動したらいいのか分からない人もいると思う。そういう人に対し、まずは小さい組織のリーダーとして任命し、フィードバックするということを行えばリーダーとしての能力が段階的に身についていき、社会に出るころには人財として活躍できるのではないか。小さい経験でも成功をすればそれがモチベーションに、また自信につながる。課題を解決するためには小さなことから取り組んでいく必要がある。

「発想型・発信型教育」で未来を創る

西尾 龍二(慶応大学大学院経営管理研究科修士2年、23歳)

 世界で活躍する人財を輩出するには、日本の教育を従来の「暗記型教育」から「発想型・発信型教育」へと変えることが必要だ。日本の教育の問題点は、覚えることに重点が置かれていることだ。教科書の内容や先生の話したことを暗記し、その出来具合で試験の点数の優劣が決まる。ビジネスとはより良い社会を創ることだ。従来の日本の教育で養われるのは「記憶力(暗記力)」であり、より良い社会を創るのに必要な「想像力」や「創造力」は育まれない。今後、日本の教育に必要なのは、自己の考えを発信するプレゼンテーションや教室内で友達と意見を交わすディスカッションの機会を設け、「自分で考える力」や「様々な意見を柔軟に受け入れる力」を伸ばしていくことだ。これが現在の不確実性の多いビジネス世界で生き抜くために必携の能力ではないか。

高校時代の海外留学

中林 健人(一橋大学法学部4年、23歳)

 高校時代に海外へ数カ月間留学することができる機会を増やすべきだ。日本では未来のリーダーを数多く輩出するような名門校であればあるほど、大学入試に主眼を置いた教育が行われているのではないだろうか。世界をリードする人財となるためには、できるだけ若いうちから「世界」に触れることが大切だ。そのためにも自分の専門を決める大学入学以前に、海外で多様な経験を積むことが望ましい。同年代の優秀な学生たちと交流することで、世界のライバルを知ることができる。また英語に関しても実際に一定期間海外で生活することは「受験のための英語」ではなく、「世界で活躍するための英語」を学ぶモチベーションにつながる。そして何よりも受験勉強や部活動に追われる日々の学生生活を離れ、異文化の中で過ごす数カ月間は自分が将来何をしたいのか、何をすべきなのか考えるための有益な時間となるはずだ。

地方で育てる“ローカル・イノベーター”が世界をリードする

林 雅則(公立大学法人役員、63歳)

 未来の人財を育てるには、教育者自らが異文化と交わり、多様な価値観を受け入れることが大切だ。従来、公教育が教育産業と提携することはタブー視された。しかし、教育分野でも公私、官民の連携が必要な時代だ。県教育長のとき、学校教員を東京事務所に配置し、ナガセと連携して予備校や進学塾に出入りさせた。その教員が現場に戻り、教育をより強くしている。さらに世界で活躍するトップ企業の経営者などに教壇に立ってもらい、その人格に直接接する影響は絶大だ。福井県は独自の海外展開を進める中小企業が多い。躍動する地方同士がグローバルに結び付く時代だ。地方で育てる“ローカル・イノベーター”こそが新時代の世界をリードする人財になると信じる。

講  評

 世界をリードする「人財」の育成について多くの方からご意見をいただき、ありがとうございました。共通していたのは誰も現在の教育に満足していない点だと思います。大量生産が必要な製造業の時代には、日本の画一的な教育システムが機能しましたが、今後は多様性を受け入れ、自分の頭で考え、自ら行動できる人財が求められています。

 長年の教育経験から、私は世界をリードできる人財には勇気や正義感、周囲への思いやりといった人間性と、大局観や決断力、統率力などリーダーとしての能力が必要だと考えます。人間性は家庭など幼少からの環境で育まれ、能力の方は自らの努力で身につくものです。

 子供時代に「好奇心を育む」ことの大切さを指摘された15歳の学生さんのご意見はもっともだと思います。能力を高めるという点で、グループワークの導入や海外の若者との交流を提案されたご意見にも賛成します。

 勉強が苦手な人は、押しつけられたと思うからです。ナガセでは自ら求め自ら答えを見いだす「アクティブラーニング」を導入し成果をあげています。ただしどんな時代でも知識というベースが重要なのは言うまでもありません。

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