未来面「あたらしい時代です。」経営者編第4回(2019年7月1日)

課題

「令和のコンビニに期待するものは何ですか?」

竹増貞信・ローソン社長

 令和となって3カ月目を迎えました。元号と日本のコンビニエンスストアの歴史を重ね合わせると、こう言えるのではないでしょうか。昭和の時代にコンビニは生まれ、24時間営業で生活者の多様なライフスタイルのニーズをくみ取ることで小売業としての基礎を培い、市民権を得ました。平成の時代はIT(情報技術)などのイノベーションを取り込みながら小売業の機能を超えた生活サービスを提供。全国的な店舗網と機動的な物流システムを活用して日常生活だけでなく被災者支援まで生活インフラとしての機能を持ち、地域に根ざすことができるようになりました。

 ローソンは1975年(昭和50年)に大阪府豊中市で産声を上げました。以降、「何か、最初にやってみよう」という進取の気性という社風のもとで「コンビニ業界トップを切って」という枕ことばを冠する数多くの取り組みがあります。例えば、店内調理の「からあげクン」は86年(昭和61年)にスタート。中国本土への進出は96年(平成8年)です。97年には沖縄県にも店を構え、47都道府県の全国チェーン化をいち早く達成しました。98年にはマルチメディア端末「Loppi」の全店設置を完了し、サービス分野の品ぞろえが飛躍的に高まりました。お客様の期待をいち早く具体化することの積み重ねだと自負しています。

 今、その期待は昭和、平成に増して高まっていると言えるでしょう。女性の就業率の上昇は家事にかける時間を圧迫します。特に夕食の調理時間をより効率的にしたいと思うはずです。ローソンで総菜類がそろっていればどれだけ便利になるか。生活者の近くに寄りそうコンビニは高齢社会の重要拠点としてますます注目され、新たな商品やサービス、機能が求められることでしょう。

 昭和と平成のコンビニは平準化して成長しましたが、令和の時代は多様な価値を店で実現し、その多様な価値を融合することで新たなイノベーションが生まれていくと考えます。ローソンには三菱商事という強力なパートナーがいます。美味(おい)しい食材を求めてグローバルな調達はもちろんIT、金融など商社が得意な機能をローソンと結びつけた新たな価値を創造していきます。

 お客様との共感も必要です。6月から愛媛県と沖縄県で食品ロス削減と子供支援への寄付という2つの課題を同時に解決できる取り組みを始めました。消費期限間近の弁当やおにぎりを購入すると100円につき5ポイント還元し売り上げの5%を子育て支援に生かします。この趣旨に賛同して下さるお客様が増えるほど社会が良い方向に進むと確信しています。

 読者の皆さんに考えていただきたいことがあります。それは「令和のコンビニに期待するものは何でしょうか」。素晴らしいアイデアを期待しています。

アイデア

新技術習う「学校」

川西 尚仁(明治大学情報コミュニケーション学部4年、22歳)

 都市、地方に限らずどこにでもある便利なコンビニエンスストア。その一区画で、近隣に暮らすおじいちゃん、おばあちゃんにスマートフォンやキャッシュレス決済など、新しいテクノロジーについて教える小規模な「学校(学びの場)」を作ってみるのはどうだろうか。学びを提供することで高齢者は新しい刺激を得られるし、新たなコミュニティーの発見につながるかもしれない。コンビニにとっては学びの場が集客につながるだけでなく、キャッシュレス決済等の知識を生かすことができれば、コンビニをより利用しやすくなるメリットも大きい。教える側の人にとっては公民館など公共施設に行くよりも、圧倒的にアクセスが良いので参加しやすいはずだ。コンビニがただの小売業にとどまらず、地域の中で人と人をつなぐ「場」の役割を担ってくれるようになることを期待したい。

世代超え集う場に

金山 典子(会社員、41歳)

 高齢者のコミュニティーづくりと、保育園不足で働きたくても働けない家族のために店舗網と品ぞろえを生かした保育園機能を持たせたい。高齢者は近所の、小学生は放課後に学校近くの、乳幼児は親の勤務先近くのコンビニエンスストアに集まるようにする。高齢者にはデイサービス、小学生には児童館、乳幼児には保育園としてそれぞれの孤立を防ぎ、交流の場の役割を果たす。コンビニで買い物すると登録した親や子に買い物データが配信され、安否確認と栄養管理が可能になる。食事、おやつ、着替え、オムツなどなんでもそろうコンビニだから集える。乳幼児を預ける親は手ぶらでいい。お昼休みの買い物ついでに子供の顔を見ることもできる。待機児童問題の解消や、働き方改革につながるはずだ。世帯収入を増やすことで消費拡大が見込め、日本全体を活性化できると思う。

地産地消進めよう

吉田 知樹(予備校生、18歳)

 コンビニエンスストアで、よく、サラダを買う。その産地表示に目を向けると、ただ国産と書かれている場合や遠い県から運ばれてきたものが目につく。小学生の時、給食には必ずと言っていいほど、地域の中で採れた野菜が使われ、献立表で強調されていた。小学校を卒業して、6年がたち、地元で採れた野菜を見かけるのは、直売所かスーパーしかなくなった。一番行くコンビニではそれを見かけない。もしも、コンビニで、地場産品を使った商品を販売すれば、輸送中に発生する二酸化炭素の削減や地域経済の活性化につながるのではないか。もちろん、農業の盛んな地域から仕入れることによるその地域の農家の収入につながる。しかし、近場で採れた野菜はお店に並ぶときでも、まだ新鮮である。農家の方もできるなら、新鮮でおいしい野菜を食べてほしいと思っていると思う。街にあふれかえるコンビニに、農家の減少が続く令和の日本に一石を投じてもらいたい。

以上が紙面掲載のアイデア

ビッグデータを活用

杉林 宏樹(会社員、54歳)

 社会インフラの機能補完を期待したい。まずは、マイナンバーを利用した住民サービス(各種届出、証明書発行、選挙投票)。これらは国民のコンセンサスが得られれば、すぐにも実現できる事柄だと思う。それからビッグデータを活用した小売りサービス。すでに米アマゾン・ドット・コムがインターネット上で実現しているものの、超高齢化社会にはまだまだ対応が不十分だと感じる。スマートフォンやタブレットなどが利用できない消費者が、安心して生活必需品を安く購入できる方法を提供することがコンビニの最もプリミティブな機能ではないか。もちろん配送も含めたワンストップサービスが実現できることが必要ですし、時として直接購入できる店舗を構えていることはとても安心です。

異文化交流の場に

清水 敬太(駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部3年、20歳)

 コンビニエンスストアを「異国文化に触れあえる街のホットステーション」にするのはどうだろうか。

 最近、外国人の店員をよく見かける。接客時の日本語力はとても高い。来日する前にコンビニのレジの使い方や日本語の研修を受けていると聞いたことがある。しかし、セルフレジが登場し、対面での接客が少しずつ減るようになった。このままでは日本語を使ったコミュニケーションの場が減ってしまう。

 そこでイートインスペースを少し拡張し、その空間で異文化教室を開催するのがいいと思う。東南アジア出身の店員の方とよく会うが、東南アジアの文化に私は詳しくないし、周りもそうだと思う。教室に興味を持った人々が集まれば自然とコミュニティができる。

 人と人のつながりが希薄になっている現在、つながる機会をつくることは大切だと思う。令和のコンビニには、異文化に関わることができて、人と人のつながりを生んでいく新たな場となることを期待したい。

人口減少社会における2つの役割

大塚 一徳(明治大学商学部3年、21歳)

 本格的な人口減少社会の到来に向け、コンビニに2つの役割を期待したい。1つ目はITの活用による商品購入の徹底的な簡略化だ。米アマゾンが既に実現しているように、顔認識技術により商品を手にとって持ち出すだけで決済が済む仕組みを作ること。これは顧客側は決済処理の簡略化により時間短縮につながり、店舗側にも人件費節約につながる。2つ目は地域のコミュニティープレース化を期待する。1つ目の決済簡略化が実現すればレジがなくなり、店内にスペースができると考える。そこに地域の人々が交流できる環境を提供する。例えば、ボードゲームや読み終わった本を共有できる本棚と読書スペース、さらにはお酒を楽しめるバーのようなものを併設するのも良いかもしれない。全ての店舗でこれを実施してほしいと思わないが、人件費が浮いた分はこういった人と人とつながりを作るような仕掛けづくりに投資してほしいと思う。

健康商品の開発を

福田 大輔(会社員、37歳)

 令和のコンビニに期待するのは、顧客の意見を聞き、社員と共同で健康を考える商品の開発を実現することだ。今や人生100年時代。一人暮らしや深夜勤務の人は、食事のバランスが崩れ、必要な栄養が不足しがちだと聞く。こうした様々なニーズを集めるため、レシートを投票用紙にしたらどうか。商品への要望などをレシートに記して投票したり、さらにスマートフォンやパソコンから自分の意見を述べたりすることができたらいいと思う。例えば独自のサプリメント製品。深夜勤務の人、トラック運転手などが24時間営業のコンビニで飲んで元気になるような栄養ドリンクや野菜サプリを開発してほしい。

健康・法律・人生…よろず相談所に

岩田 志郎(税理士、72歳)

 人々は多くの悩みを抱えている。健康の事、法律上の問題や相続など数えきれない。「誰かに相談したい」と思っても、どこの、誰に相談したら良いか分からずウロウロする人の何と多いことか。ちょっとした日用品を買う気持ちで「コンビニで人生相談」を受けられれば、特に高齢者の生活拠点として、コンビニはなくてはならない存在になるだろう。具体的な手順は、まずコンビニで1000円の「コンビニ何でも相談セット」を購入。このセットにある相談事記入用紙に悩み事を記入し、封筒に入れてポストに投函する。封筒が「コンビニ何でも相談センター」に到着すると、事前登録された実績、人柄など申し分のない専門家が事例のテーマに応じた人選で相談員となり、コンビニで相談に乗る。報酬などの詳細は両者で協議して決める。こうした仕組みが悩み事を抱える人々を救うのではないだろうか。

私の管理栄養士

細見 勝(会社員、46歳)

 コンビニの効率化が進む中、もう一歩進んだビジネスモデルについて考えてみた。ある朝、6時に設定したスマホのアラームと同時にいつものコンビニからランチのおすめ情報が届いた。いつも買う緑茶と新発売のお弁当をセットで買うと20円安いらしい。一日の摂取カロリー目標を設定しておけばアプリで管理してくれる。昨日コンビニで買って食べた食事では少しビタミンCが少し不足していたようなので今日の食事で補えればと思った。会社に向かうバスの中、専用アプリで購入する商品と受取時間をチェック、支払いは登録した決済アプリで精算。受取30分前までは注文の変更も可能だ。選択した商品データから取得できるカロリーと栄養バランスが表示され、不足している栄養分を補えるものが提案されたので追加購入することにした。まさにコンビニは身近な管理栄養士となった。コンビニの店頭には予約した商品を受け取る「受取BOX」が並んでいた。

外国人と日本をつなぐ

島村 香帆(駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部3年、21歳)

 日本に来て20年がたつ外国人の友人から来日当初、言葉の壁で生活に苦労した経験を聞いた。そこで「外国人と日本をつなぐ役割」を令和のコンビニに期待する。外国人労働者の受け入れ拡大により、今後日本に住む外国人は確実に増加する。令和は日本人と外国人が共に生きていく、グローバルな時代になる。言葉の壁にぶつかり、生活に困る外国人も増えるだろう。小売業の機能を超えた生活サービスを提供するコンビニはこういった外国人を救うことができる。デジタル化で多言語を取り入れる。買い物だけでなく人工知能(AI)など最先端デジタル技術で多言語を用いた生活支援サービスの提供を目指す。母国語でサービスを受けられる、情報を得られる安心感があるはずだ。多くの外国人労働者が活躍しているコンビニが、外国人が住みやすい日本をつくる。コンビニは国境を越えた全ての人の生活のプラットフォームになるだろう。

いい商品やノウハウ、競争より共有

本多 尋(海陽学園海陽中等教育学校中学1年、12歳)

 私は家の近くにコンビニがあった。そこには様々な商品が置いてあり、かつ店員の接客の仕方もよかったのでほとんど不便さを感じていなかったが、これだけは改善してほしいということがある。それは他のコンビニとの協力だ。協力すると売り上げに影響するかもしれないが、それには理由がある。1つ目は、どのコンビニもオリジナルメニューを出していて、面白そうでおいしそうなのだけれど、「この地域にはこのコンビニ」のような偏りがあるので、CMに出ているけれど食べられない、ということがよくあった。違うコンビニのオススメ商品を置いてくれたら食べ比べができ、普段の楽しみがまた1つ増えると思う。2つ目は、良いところを共有してほしいからだ。「こっちのコンビニにないけど、あっちにはある」といった良いところがあるので、それを教え合えば人々にとってより快適なコンビニになるのではないか。

「個」のサービスの追求

大住 知範(公務員、48歳)

 コンビニエンスストアは誕生して以来、私たちにとって便利なモノやサービスをいち早く提供してきた。これほど進化し続けることを誰が想像しただろうか。コンビニは、顧客の購買履歴を持ち、そのビッグデータから様々な売れ筋のモノやサービスを提供できる時代となった今、もっと、「個」に焦点をあてたサービスを追求してもらいたい。

 たとえば、顧客の直近の活動量、購買履歴、持病やアレルギーによる控えるべき栄養素・食材などを人工知能(AI)が分析する。その上で、おすすめの弁当やお総菜を来店した顧客のスマートフォンに提案するといったサービスだ。

 生活習慣病を予防する上では、毎日の食事に気を付ける必要があるものの、実際に行動に移すことはとても難しい。しかし、コンビニはその気になれば、その情報を集め、分析し、最適な提案をできるフロントランナーになれると思います。

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講  評

 読者の皆さんから多くのアイデアを寄せていただき、ありがとうございました。マチの機能としてなくてはならない存在のコンビニエンスストアとして、心温まる施策をより一層、取り込んで存在価値を高めていきたい、と改めて感じました。デジタルとリアル店舗を結びつける取り組みは重要な課題と認識していて、アイデアの中にその融合についての投稿をたくさんいただき、素直にうれしく思いました。

 都市でも地方でも高齢者の方を孤立させてはいけません。「新技術習う『学校』」は面白い発見ですね。コンビニでの学びを通じて交流の場所となれば素晴らしいことです。ローソンでは一部の店舗で介護相談窓口を併設していて、近隣のお客様が予想以上にいらっしゃっています。孤立も解消されると思います。

 「世代超え集う場に」はこれからの日本に必要な機能だと思いました。佐賀県内でデイケアセンター、高齢者施設などが入居するコミュニティモールの一角にローソンが出店したところ世代を超えたコミュニティーが出来上がり、憩いの場として親しまれています。スマートシティならぬスマートコミュニティーです。

 「地産地消進めよう」は農家の活性化と国産農産物の安定調達を目指すローソンファームの取り組みを後押ししてくれるアイデアです。最川上(農場)と最末端(店舗)までの連携の醍醐味です。産・消接近により生産者の顔がわかり、安心安全へとつながります。地域食と地域色の合体です。温暖化抑制にも貢献できます。

 日経電子版で紹介されていますが「私の管理栄養士」は日々の食事や健康管理をデジタルを活用して行い、栄養バランスのとれたメニューを紹介するサービスは瞠目(どうもく)に値します。

 皆さんからのアイデアを大切にしてより社会インフラとしての役割を担っていきたいと思います。

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