未来面「あたらしい時代です。」経営者編第10回(2020年2月3日)

課題

「デジタル時代に損害保険会社に期待される役割は?」

原典之・三井住友海上火災保険社長

 データビジネスの時代といわれますが、損害保険会社は昔からデータを基にリスクを分析して保険商品を設計してきました。現在ではデータの種類や量がどんどん増え、様々な形でつながる時代です。これからも人工知能(AI)やロボットの活用などでデータビジネスは加速度的に広がっていくと思います。

 データの活用が広がるデジタル時代に損保会社ができること、それは社会的課題の解決やイノベーションを後押しする役割です。デジタル技術などを活用した新しい商品・サービスが、次々と生まれています。

 たとえば2019年12月に道路交通法が改正され、「ながら運転」が厳罰化されました。業務で自動車の運転が必要な企業では事故だけでなく、運転中の行動もリスクになります。こうした企業向けに今年から新たな自動車保険を発売しました。運転席が映るカメラを車内に搭載して運転手を顔認証で特定し、ながら運転を始めると警告を発したり、急ブレーキが多いといった個人の運転特性を見つけたりする機能を付けました。

 企業の場合、従業員の健康面も大きなリスクです。そこで健康診断のデータから、もし現在の生活習慣を続けたら、肝臓や心臓にどんな障害が起きるかを伝えたり、数年後には顔つきがどう変わってしまうかを加工写真で見せたりする健康アプリを付帯した長期所得補償保険の販売を検討しています。

 昨年は台風や豪雨などの自然災害が多く発生しました。我々が持つ建物の構造や立地のデータと、自治体の想定被害のデータを組み合わせれば、防災や減災のための連絡体制や避難ルートを構築することができるようになります。

 このように我々が蓄積したデータと外部の方のデータを掛け合わせることで、より高度なリスク分析を進め、減災や防災につなげる活動を始めています。我々はリスクとテクノロジーの融合という意味で「リステック」と呼んでいます。本来、損保会社は災害後に保険で損失を補償する立場ですが、未然に災害を防いで万一の被害を軽減できれば、社会全体への影響を抑えられます。

 損保会社にとってデジタル化の利点は大きく、データを集約・加工することで新たな商品やサービスを生み出す可能性が膨らみます。少子高齢化で働き手が減る日本では、イノベーションが成長持続のカギになります。我々は保険でリスクを抑えることで社会的課題の解決やイノベーションを後押しする役割を担っていきたいと考えています。

 そこで読者の皆さんに質問です。デジタル時代に損保会社に期待される役割は何だと思いますか。また、データやデジタル技術を活用することで社会的課題の解決につながる保険をご提案いただけませんか。デジタル社会に生きる若い皆さんの柔軟なアイデアをお待ちしています。

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